2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

近代英語における文法的・構文的変化 15世紀の動詞派生前置詞

15世紀から20世紀までの英語について,世紀ごとに変化を記述している。先行研究から出発し,コーパスやテキストを通して英語の軌跡を追っている。どの世紀についても句動詞,仮定法,補文がトピックに入っているのが特徴である。 動詞派生前置詞concerningは…

「英語に入った日本語たち」-日本語からの借用語

www.youtube.com 日本語からの借用語数は,ラテン語やフランス語に遠く及ばないが非ヨーロッパ言語としては最大数であると言う。20世紀後半から21世紀初めにかけての世界経済におけるプレゼンス,現在の続いていると思われる文化的影響力の賜物であろうか。…

渡辺雅子『納得の構造』

日本とアメリカ合衆国の作文教育の教育学的比較。言語学(特に認知言語学や談話分析)に波及がありそうであると感じられてとても面白い。 TOEFLライティングと日本の感想文に日米差が典型的に現れている。 www.youtube.com

新型コロナが脳血液関門を破壊するという Natureの論文から

人間が生命活動の中心的役割を果たす脳を守るために発達させたのであろう脳血液関門を破壊するという,新型コロナウイルスの恐ろしさを示す論文。新型コロナのような存在は人間の進化の過程で遭遇しなかったものなのであろう。 vascular 血管の(他に,生物…

2004年の記事 Japanese hostages return home to mauling from the right

出典はこちら。 Japanese Hostages Return Home to Mauling From the Right | The Asia-Pacific Journal: Japan Focus 小泉政権の時の人質事件についての記事。日本の各紙が政権寄りの論調であったと記憶しているが,こちらは政権に対してだいぶ辛辣である。…

「心の理論」

心の理論とは「ある状況に置かれた他者の行動を見て,他者の考えを予測し,解釈することができる」という心の働きのこと。通常,4~6歳で獲得される。自閉症児では獲得が遅れたり,あるいは獲得が難しいとの指摘がある。

『物語に見る英米人のメンタリティ』 文学と言語学の接点

表題の書は文学研究者による日本と英米の対照文化論である。これが,認知言語学でいうところの,認知モード(Iモード認知とDモード認知)に繋がっていて面白かった。 言語学でいうDモード (displaced mode)は「もののありようを、冷静な目でとらえる」となる…

聞きやすい英語と聞きにくい英語 雑感

先日,種子屋久高速船に乗る機会があった。屋久島が世界遺産に登録されており,外国人観光客が多いからだろうか,往復とも出港時にアテンダントの方が英語での船内アナウンスを行っていた。往復のアナウンスを聞いていて,聞きやすい,分かりやすい英語とは…

案内板の英訳に見る認知言語学的視点

えびの高原(宮崎県・鹿児島県)にある案内板 案内板のタイトルを見て欲しい。「えびの高原の植物 その移り変わり」である。名詞句を並列することで時の経過を感じさせる表現になっている。それが案内板の内容とマッチしているのだが,それを直訳した The ve…

acrossの語法

客観的な表現を好み,全てを言語化しようとする傾向がある英語であっても,暗黙的に済ませることがあるのが,次のような例から分かる。 He lives across the street. 通りの向こう側にということだが,基準点は言うまでもなく話者である。基準点が言語化され…

First name basis

欧米の(特にアメリカ)では人間関係の上下が厳しくなくて,first nameで呼びかけあうのが普通だと一般には思われているようだ。その典型が,安倍元首相がプーチン氏に対してウラディミールと呼びかけていたことであろう。ただ,そのような思い込みは間違い…

海外での舌打ちの意味

日本では舌打ちは不快の感情や挑戦的態度を表すが,海外では違うようだ。 komachi.yomiuri.co.jp ParetskyのGuardian Angelに次のような例がある。 p. 90 Steve sounded pleased to hear from me and clicked his tongue consolingly over my tale of woe. …

百年戦争について

柴田三千雄 (2006)『フランス史10講』岩波書店,東京。 第3章 14,15世紀はヨーロッパ全体が危機に見舞われる。飢饉,疫病,戦争の3つの災害が重なったことが原因。飢饉は,11世紀はじめからの人口増加に対して,耕地の拡大や技術改良が頭打ちになったため…

唐澤一友,モート、セーラ (2017)『日本人が知りたいイギリス人の当たり前』

英語リーディングの教材であるが,イギリス社会・文化が同時に学べるようになっている。個人的には,現在のRP,河口域英語についての情報がありがたい。