2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

近藤泰弘(2000)について

近藤泰弘(2000)『日本語記述文法の理論』くろしお出版,329-254ページ)に目を通したので簡単に報告します。上掲書では、準体節(末尾が用言の連体形で、全体として名詞節となっているもの)を次のように分類しています。 ①同格準体 (=石垣「作用性名詞句」…

Watanabe (2002) Loss of Overt Wh-Movement in Old Japanese

目標 Chomsky (1995)とChomsky (2000)の比較検討。wh-featureは解釈不可能であるか?

日本語のnegative concord

以前に読んだ渡辺論文を掲載した本の第9章に 言及がありました。要約すると以下の通りです。(番号は原論文のもの) (17) Q: 何を買ってきたの? A: 何も。 上の会話で返答の「何も。」は単独で否定の意味を持つ。だから 「何も買ってこなかった。」は2つあ…

野村剛史論文

野村剛史(2011)『話し言葉の日本史』吉川弘文館 文献資料から「話し言葉」を再構しようというユニークなアプローチの本で、連休中に2/3ほど読んだのですが、例の上代語の語順についての言及もありました。 =================== ……係り助詞の「カ・ゾ・ヤ」が…

S. -Y. Kuroda, On the Syntax of Old Japanese

3. Old Japanese 3.1 Sentence types and kakari musubi 独立文では、動詞は終止形、連体形、已然形のいずれかを取る。標準的には終止形であるが、係り結びにおいては動詞は連体形や已然形を取る。 3.2 Case marking 3.2.1 Bare DPs as case marked subjects…

外池論文について 和歌の解釈と論文の論旨

さて、先週の読書会で保留させていただいた、和歌の解釈です。 (6)a.海の底 沖つ白波 龍田山 いつか越えなむ 妹があたり見む 「沖の白波が立つ、その立つという名の龍田山をいつ越えられることか。早く妻の家のあたりを見たいものだ」(『新潮日本古典集成』…