聞きやすい英語と聞きにくい英語 雑感

先日,種子屋久高速船に乗る機会があった。屋久島が世界遺産に登録されており,外国人観光客が多いからだろうか,往復とも出港時にアテンダントの方が英語での船内アナウンスを行っていた。往復のアナウンスを聞いていて,聞きやすい,分かりやすい英語とは何だろうかと思った。

もちろん,ここではネイティブ英語かジャパニーズイングリッシュか,という話をしているのではない。日本なのだからジャパニーズイングリッシュで十分である。何を言っているのかが明瞭であると感じられるか否かの問題である。

さて,聞きやすい英語はというと,文末がしっかりと発音する英語であると感じた。逆に,聞き取りにくい英語は文末が減衰してしまっている英語であると思った。なぜだろうか?

英語では,概して,文末方向に重要な情報が配置され,それに対応する形で文末方向に文アクセントが置かれる。これが英語のデフォルトパターンなので,英語を聞いていると自然に文末方向に注意を向けることになる。その文末方向が減衰して弱いと,何か違和感を感じてしまう,という訳だ。

これに対して,日本語では英語の文アクセントのようなものはなく,単語アクセントの連続であり,文末方向に減衰していく。聞きにくいと感じてしまった英語は日本語のアクセントを反映した発音だった訳だ。

最後に「文末をしっかり発音」とは具体的に何か,ざっくりと考えてみたい。聞きやすいと感じた英語は,文末を伸ばして発音していた。英語のアクセントというと強勢アクセントであり,日本人は長さを均一にしたままで,強さだけ変えようとして,不自然になってしまう。英語の強勢アクセントは強さ,長さ,高さの複合体である。長く発音することは,呼気を強めることを意味するのだろう。これで強さがカバーされ,また,呼気を強めて空気の流量を上げることで声帯の振動が増して,ピッチが上がるかもしれない。大雑把な話なので,今後詰める必要があるが,英語のアクセント指導では長くせよ,というのが以外と正解なのかもしれない。