客観的な表現を好み,全てを言語化しようとする傾向がある英語であっても,暗黙的に済ませることがあるのが,次のような例から分かる。
He lives across the street.
通りの向こう側にということだが,基準点は言うまでもなく話者である。基準点が言語化されていない。もちろん基準点の言語化は可能である。
He lives across the street from me.
この非言語化・言語化はどのような基準で使い分けられるのか疑問であったが,次の例が考えるヒントになるかもしれない。
"The one I've met lives across the street from me. ..."
電話の会話で,ある人の属性を描写しているシーンである。電話の会話なので,相手は話者の場所について主観的な把握を共有していない。その理解にもとづいて,客観性の高い表現が必要と感じてfrom meの言語化に繋がっているのかもしれない。