中尾俊夫 (2003)『変化する英語』ひつじ書房,東京。

中尾 (2003:67-77)
 PEの特徴の1つに自動詞〜他動詞の混用がある。とくに能格動詞(ergative verb: break, open)、中間動詞(middle verb: cut, translate)などは広く行われている。
He smokes cigars ~ He smokes
He drinks a beer ~ He drinks
He expects a caller ~ He expects
I meet Mary ~ We meet

しかし、目的語を略さないものもある(use, abandon, finish)。自動詞が他動詞化したり、またその逆に他動詞が自動詞化する現象は現代英語の特徴で、これからますますその傾向を押し進めていくと思われる。
 歴史的にみると自動詞が他動詞化されていくのが主流であるが、現代英語の観点からみると1つの動詞がそのまま他動詞にも自動詞にも使うことができるということになる。

他動詞化のルートは
1.自動詞が前置詞をとり、さらに内容節をとるためにit thatとなり、そのitを削除、さらにfull NPをとるようになる。その後、擬似分裂文が可能になり、さらに他動詞の最終段階として受け身が可能になる。
2.自動詞+前置詞の前置詞を落とした後that節をとるか、NPをとるようになる。
3.自動詞が途中の段階を経ず内容節をとるか、NPをとるようになる。

VI → VI P → P it that節 → that節 → NP(→受身)
VI Pから直接that節に飛ぶことも、受身まで飛ぶこともあり。

thinkのような動詞はthink about ~ / think that節(あるいはthink wh-節: I cannot think what her name is)はあってもthink NPはまれで(いずれNPをうしろにとるかもしれない)まだ十分に他動詞化したとはいえない。

自動詞化のルートは
1.目的語が文脈から明らかな場合省かれることから始まり、直接自動詞の終着点に到達するか、
2.前置詞を入れるようになる

V NP → V zero → VI
V NP → V P NP → VI